入管庁が不法就労対策を強化へ|SNS経由の外国人雇用で企業が確認すべきポイント

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Foreign Employment Compliance

入管庁が不法就労対策を強化へ|SNS経由の外国人雇用で企業が確認すべきポイント

外国人雇用を避けるべきという話ではありません。重要なのは、在留資格・在留期限・就労可能な業務内容を確認したうえで、適法に採用・雇用管理を行うことです。

本記事は、2026年5月22日配信の報道及び出入国在留管理庁・e-Gov法令検索の公開情報をもとに、外国人を雇用する企業向けに実務上の注意点を整理したものです。個別事案の適法性判断には、在留資格、職務内容、雇用形態、勤務場所、勤務時間、本人の在留状況等の確認が必要です。

入管庁の不法就労対策強化で注目すべき点

出入国在留管理庁が、不法就労対策を強化する方針を示したとの報道がありました。報道によれば、SNS上の不法就労あっせん、偽造在留カードの売買、不法就労につながる投稿等について、サイバーパトロールを導入し、警察等とも連携して対応する方向とされています。

今回のポイントは、不法就労をしている外国人本人だけでなく、雇用する側、紹介する側、あっせんする側にもリスクが及ぶという点です。

外国人雇用は、多くの企業にとって重要な人材確保の手段です。しかし、在留資格や就労可能な業務内容を確認しないまま採用すると、企業側にも重大な法的リスクが生じる可能性があります。

Professionals reviewing employment documents during a compliance meeting
外国人雇用では、在留カードだけでなく、在留資格と実際の業務内容の確認が重要です。

不法就労とは何か

不法就労というと、在留期限を過ぎて日本に残っている外国人が働くケースを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、実務上はそれだけではありません。

  • 在留期限が切れている外国人を雇用する
  • 就労できない在留資格の外国人を雇用する
  • 資格外活動許可の範囲を超えて働かせる
  • 留学生や家族滞在のアルバイト時間を管理していない
  • 技術・人文知識・国際業務の在留資格で、単純作業中心の業務に従事させる
  • 特定技能の分野・業務区分と異なる業務に従事させる
  • 本人が「働ける」と言っているだけで、在留カードや在留資格を確認していない

つまり、在留カードがあるからといって、すべての仕事ができるわけではありません。在留資格ごとに、認められる活動内容や就労範囲は異なります。

SNSや知人紹介による採用は特に注意

近年、外国人採用では、Facebook、Instagram、TikTok、WhatsApp、WeChat、LINE、各国語のコミュニティグループなどを通じた紹介や募集が行われることがあります。SNSや知人紹介による採用自体が直ちに問題になるわけではありません。

問題は、採用スピードが速くなる一方で、確認が不十分になりやすいことです。

  • 紹介者の説明だけで採用してしまう
  • 在留カードの画像だけで判断する
  • 原本確認をしない
  • 在留期限を見落とす
  • 資格外活動許可の有無を確認しない
  • 実際の業務内容と在留資格の対応を確認しない
  • 偽造在留カードの可能性を考慮しない

出入国在留管理庁の公式サイトでは、在留カード等読取アプリケーションも案内されています。在留カードの真偽確認や管理体制は、企業側の外国人雇用コンプライアンスにおいて重要な確認項目です。

雇用主側にも不法就労助長のリスクがある

外国人本人が不法就労となる場合、雇用主側も責任を問われる可能性があります。出入国管理及び難民認定法には、不法就労をさせたり、不法就労をあっせんしたりする行為に関する規定があります。

「知らなかった」だけでは、常に責任を免れられるとは限りません。

在留カードを確認していない、在留期限を管理していない、資格外活動許可を確認していない、業務内容と在留資格の関係を検討していないという場合、企業側の管理体制が問題視される可能性があります。

条文や罰則の詳細は、必ず最新の法令で確認する必要があります。参考として、最新条文は e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」 で確認できます。

業界ルールや許認可への影響にも注意

報道では、不法就労助長罪で摘発された雇用者について、各業界の法律上の欠格事由に反映するよう関係省庁に法改正を提案していく方針も示されています。

これは企業にとって重要です。不法就労の問題が、単なる一回の摘発や罰則にとどまらず、将来的には、業界によっては事業継続、許認可、登録、指定、参入資格に影響する可能性があるためです。

特に、外国人材を多く受け入れる業種では、今後、外国人雇用に関する内部管理体制の整備がより重要になると考えられます。

Business team reviewing compliance data and employment procedures
外国人雇用では、採用時だけでなく、在留期限・勤務内容・更新時期の管理も重要です。

企業が確認すべき基本ポイント

1.在留カードの原本確認

コピーやスマートフォン画像だけで判断せず、原則として原本を確認します。

2.在留期限

在留期限が切れていないかを確認します。雇用後も、在留期限の管理が必要です。

3.在留資格

在留資格の種類を確認します。就労資格かどうか、就労できる業務に制限があるかを見ます。

4.就労制限の有無

在留カード表面の「就労制限の有無」を確認します。

5.資格外活動許可の有無

留学生や家族滞在などの場合、在留カード裏面の資格外活動許可を確認します。

6.実際の業務内容

予定している業務内容が、その在留資格で認められる活動に合っているかを確認します。

7.雇用契約書・勤務場所・勤務時間

雇用契約書、勤務場所、勤務時間、職務内容が実態と合っているかを確認します。

8.更新・変更申請の必要性

転職、職務変更、勤務先変更、在留期限接近などがある場合、在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請、就労資格証明書交付申請などが必要になることがあります。

適法な外国人雇用のために

今回の不法就労対策強化は、外国人雇用そのものを否定するものではありません。むしろ、適法に働ける外国人を、適切な業務内容で雇用することの重要性が高まっているといえます。

外国人本人にとっても、企業にとっても、在留資格に合わない働き方は大きなリスクになります。

SNSや知人紹介で採用する場合、採用スピードが速くなりやすい一方で、在留資格や就労範囲の確認が不十分になりがちです。外国人を雇用する企業は、採用前の段階で、在留カード、在留資格、就労可能な業務内容、資格外活動許可、在留期限を確認し、必要に応じて専門家に相談することが重要です。

外国人雇用の在留資格確認・雇用前チェックでお困りの企業様へ

トミーズリーガルサービス行政書士事務所では、外国人雇用に関する在留資格確認、雇用前チェック、在留資格変更・更新申請、特定技能・登録支援機関に関するご相談に対応しています。

SNSや知人紹介で外国人を採用する場合も、雇用前に確認すべきポイントを整理し、企業側のリスクを減らすためのサポートを行います。

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