特定技能で人気の分野はどこか?人数ランキング・残り枠・人気の理由を実務目線で解説
特定技能で人気の分野はどこか?人数ランキング・残り枠・人気の理由を実務目線で解説
特定技能の「人気分野」は、単に外国人本人が希望する仕事だけで決まるわけではありません。日本側の人手不足、技能実習からの移行しやすさ、求人の多さ、試験制度、受入れ上限の残り枠をあわせて見る必要があります。
特定技能で採用を考える企業から、「どの分野が人気ですか」「どの分野なら人材を集めやすいですか」という相談を受けることがあります。
しかし、実務上は「人数が多い分野」と「今から申請しやすい分野」は同じではありません。特に、外食業のように人数が急増し、受入れ上限に近づいたため、申請運用に注意が必要な分野もあります。
1.特定技能の人数は過去最高水準
出入国在留管理庁の令和7年12月末速報値によると、特定技能在留外国人数は全体で390,296人です。そのうち、特定技能1号は382,341人、特定技能2号は7,955人です。
この数字だけを見ても、特定技能が日本の人手不足分野で重要な在留資格になっていることが分かります。
2.人数ベースで見る人気分野ランキング
特定技能1号の分野別人数を見ると、上位は次のとおりです。
| 順位 | 分野 | 在留外国人数 | 構成比 | 実務上の見方 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 飲食料品製造業 | 93,393人 | 24.4% | 食品工場、加工食品、弁当・惣菜、冷凍食品など受入先が広い。 |
| 2 | 介護 | 67,871人 | 17.8% | 人手不足が強く、制度需要も大きい。日本語力と適性確認が重要。 |
| 3 | 工業製品製造業 | 56,736人 | 14.8% | 製造業の裾野が広く、技能実習からの移行とも相性がよい。 |
| 4 | 建設 | 49,323人 | 12.9% | 需要は強いが、建設分野特有の受入れ管理・安全管理が重要。 |
| 5 | 外食業 | 43,869人 | 11.5% | 留学生アルバイト経験者などから人気が高いが、上限運用に注意。 |
| 6 | 農業 | 37,952人 | 9.9% | 地域差があり、技能実習からの移行も多い。 |
3.「人気がある分野」と「申請しやすい分野」は違う
特定技能の分野を考えるときは、単純な人数ランキングだけで判断しないことが重要です。
- 外国人本人に人気がある分野
- 企業側の求人が多い分野
- 技能実習から移行しやすい分野
- 試験に合格しやすい、又は受験機会が多い分野
- 受入れ上限に余裕がある分野
これらは、それぞれ別の観点です。人数が多い分野であっても、上限に近づいている場合や、分野該当性の確認が難しい場合には、申請前に慎重な確認が必要です。
4.飲食料品製造業が最多である理由
飲食料品製造業は、特定技能1号の中で最も人数が多い分野です。食品工場、加工食品、冷凍食品、弁当、惣菜、飲料、菓子製造など、全国に受入先が広がっています。
また、外食業と比べると接客中心ではないため、現場によっては日本語会話の負担が相対的に軽い場合があります。作業内容も比較的説明しやすく、技能実習から特定技能へ移行するケースとも相性があります。
5.介護は需要が強いが、本人の適性確認が重要
介護は人数ベースで2番目に多い分野です。高齢化が進む日本では介護人材の不足が深刻であり、特定技能でも重要な受入分野になっています。
一方で、介護分野では単に試験に合格しているだけでは不十分です。介護日本語、利用者とのコミュニケーション、身体介助、夜勤への適性、施設側の教育体制を確認する必要があります。
6.工業製品製造業・建設は、求人需要と制度確認の両方が重要
工業製品製造業は、製造業の裾野が広く、今後も主要分野であり続ける可能性があります。工場勤務経験者や技能実習修了者との相性も高い分野です。
建設分野も人手不足が強く、経験者にとって魅力のある分野です。ただし、建設分野では、業務区分、受入計画、建設キャリアアップシステム、安全管理、元請・下請関係など、他分野よりも確認事項が多くなります。
7.外食業は人気が高いが、受入れ上限に注意
外食業は、留学生アルバイト経験者などにとって分かりやすい分野であり、都市部を中心に求人も多い分野です。そのため、本人側・企業側の双方から人気が高い分野といえます。
しかし、出入国在留管理庁は、外食業分野について、令和8年2月末時点で特定技能1号の在留者数が約4万6千人となり、同年5月頃に受入れ見込数である5万人を超えることが見込まれると公表しています。そのため、令和8年4月13日以降に受理された特定技能1号・外食業分野の在留資格認定証明書交付申請は、不交付とする運用が示されています。
実務上の注意:外食業は「人気があるから申請しやすい」とは限りません。新規COE、在留資格変更、転職、特定活動からの移行など、申請類型ごとに取扱いを確認する必要があります。
8.これから伸びる可能性がある分野
人数がまだ少ない分野であっても、今後伸びる可能性がある分野があります。たとえば、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業などは、制度上新しく追加された分野として今後の運用が注目されます。
特に自動車運送業は、バス、タクシー、トラックなどの人手不足と関係します。ただし、日本の運転免許、日本語での安全確認、旅客対応、事故防止教育など、単に人材がいればよいという分野ではありません。
9.企業が分野選定で確認すべきこと
特定技能では、求人を出す前、又は候補者を採用する前に、少なくとも次の点を確認する必要があります。
- 実際の業務内容が、特定技能の対象分野に該当するか
- 候補者が技能試験・日本語試験の要件を満たすか
- 技能実習からの移行の場合、移行対象となる職種・作業か
- 受入企業側の支援体制、雇用条件、法令遵守状況に問題がないか
- 分野別協議会、上乗せ基準、受入れ上限の運用に注意すべき点がないか
特定技能は、単に「人手不足だから採用できる」という制度ではありません。本人・勤務先・提出資料・審査傾向の4つの視点から、申請可能性を確認することが重要です。
10.まとめ
特定技能で人数が多い分野は、飲食料品製造業、介護、工業製品製造業、建設、外食業、農業です。これらは日本側の人手不足が強く、受入企業も多い主要分野です。
ただし、人数が多いことと、今から申請しやすいことは同じではありません。特に外食業のように、受入れ上限に近づいたことで申請運用が変わる分野もあります。
企業が特定技能外国人を採用する場合は、分野の人気だけでなく、業務該当性、試験要件、受入体制、上限運用を確認したうえで進めることが大切です。
参考資料
出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数(令和7年12月末)のポイント」
出入国在留管理庁「特定技能『外食業分野』における受入れ上限の運用について」
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採用前の段階で確認することで、分野違い、要件不足、資料不足によるリスクを下げることができます。