2026年4月改正:飲食料品製造業の拡大と外食業停止を読み解く—食肉小売業追加と受入れ上限到達の背景

特定技能・2026年4月制度改正

2026年4月改正:飲食料品製造業の拡大と外食業停止を読み解く

食肉小売業の追加と、外食業分野の新規受入れ停止。正反対に見える二つの動きから、特定技能制度の今後を実務目線で整理します。

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はじめに

2026年4月、特定技能制度では方向性の異なる二つの重要な動きがありました。

一つは、飲食料品製造業分野において「食肉小売業」が対象に追加されたことです。もう一つは、外食業分野で特定技能1号の在留資格認定証明書交付申請等について、4月13日以降の新規受理分が原則として厳しく制限されたことです。

この二つは一見すると矛盾しているように見えます。しかし、制度全体として見ると、政府は「人手不足が深刻で、かつ制度趣旨に合う分野」では受入れを広げる一方、すでに受入れ見込数の上限に近づいた分野では、新規受入れを抑制する方向に動いていると考えられます。

実務上のポイント:
特定技能は「人手不足なら何でも受け入れる制度」ではありません。分野ごとの対象業務、受入れ見込数、協議会加入、技能試験、雇用契約の内容、実際の業務内容が細かく確認されます。

1.2026年4月に何が変わったのか

拡大

飲食料品製造業分野

2026年4月15日付で、飲食料品製造業分野に特有の基準が改正され、「食肉小売業」が対象に追加されました。

ただし、単なる販売店ではなく、食料品製造を行うものに限られる点が重要です。

制限

外食業分野

外食業分野では、特定技能1号の在留者数が受入れ見込数に近づいたため、2026年4月13日以降の新規申請について、COE交付停止等の措置が取られています。

更新や一部の変更申請は、すべて停止されたわけではありません。

つまり、今回の動きは「特定技能全体を一律に広げる」ものではなく、分野ごとの人手不足、受入れ上限、制度趣旨への適合性を見ながら、きめ細かく運用を変えているものといえます。

2.飲食料品製造業に「食肉小売業」が追加された意味

飲食料品製造業分野では、2026年4月15日付で基準が改正され、食肉小売業が新たに対象に加わりました。背景には、精肉店や食肉加工を伴う小売現場における人手不足があります。

ただし、ここで注意すべきなのは、対象となるのは「食料品製造を行うものに限る」という点です。包装済みの商品を仕入れて販売するだけの店舗は、原則として対象にはなりません。

食品関連事業所での業務をイメージした写真
飲食料品製造業分野では、実際の製造・加工業務に該当するかが重要です。

対象になりやすい業務の例

  • 店舗内又は工場内での食肉の加工、整形、切り分け
  • 食品衛生管理を伴う製造・加工工程
  • 加工後商品の包装、出荷準備等、製造工程と一体となった業務

注意が必要な業務の例

  • レジ、接客、販売のみを主たる業務とする場合
  • 包装済み商品を仕入れて陳列・販売するだけの場合
  • 雇用契約書上は製造業務と書いているが、実態は販売中心である場合
申請前に確認すべき事項
  • 事業所で実際に食肉の加工・製造を行っているか
  • 外国人本人の主たる業務が販売ではなく製造・加工に当たるか
  • 雇用契約書、職務内容説明書、会社案内、写真資料が実態と一致しているか
  • 食品産業特定技能協議会への加入等、分野固有の手続を確認しているか
  • 本人が技能試験・日本語試験等の要件を満たしているか

3.外食業分野の受入れ停止が意味するもの

外食業分野では、状況が大きく異なります。入管庁の公表によれば、外食業分野における特定技能1号の在留者数は2026年2月末時点で約4万6千人となり、2026年5月頃には受入れ見込数である5万人を超えることが見込まれる状況になりました。

そのため、2026年4月13日以降に受理された外食業分野の特定技能1号に係る在留資格認定証明書交付申請は、不交付とする扱いが示されています。また、同日以降の在留資格変更許可申請も、原則として不許可とされる方向です。

外食業や飲食店の人材確保をイメージした写真
外食業分野では、受入れ上限に近づいたことにより、新規受入れが大きく制限されています。
申請・手続 2026年4月13日以降の扱い 実務上の注意点
外食業分野のCOE交付申請 同日以降受理分は不交付 海外から新たに呼び寄せる計画は、原則として大きな見直しが必要です。
外食業分野への在留資格変更許可申請 同日以降受理分は原則不許可 例外的に審査対象となる類型があるため、個別確認が必要です。
既に外食業分野の特定技能1号で在留している方の転職等 通常どおり審査される扱い 転職先の受入体制、雇用条件、支援計画の整合性が重要です。
在留期間更新許可申請 今回の措置の対象外 更新だから安心ではなく、勤務実態・納税・支援状況は通常どおり確認されます。
特定技能2号 今回の停止措置の対象外 長期的には2号への移行支援が重要になります。

4.企業側への影響

外食業分野で新規に外国人材を確保しようとしていた企業にとって、今回の措置はかなり大きな影響があります。これまで海外人材を特定技能1号で採用する計画を立てていた場合、COEルートが使えなくなるため、採用計画、店舗運営、人員配置の再検討が必要になります。

外食業企業が検討すべき対応

  • 既に在留している特定技能人材の定着支援を強化する
  • 特定技能2号へのステップアップを見据えた育成計画を作る
  • 業務の省力化、DX、営業時間・メニュー構成の見直しを行う
  • 技能実習、技人国、家族滞在の資格外活動など、制度趣旨に合う範囲で代替可能性を検討する
  • 単に「外食業で働かせたい」ではなく、実際の職務内容に合った在留資格を確認する
注意:
他の在留資格を無理に当てはめることは危険です。例えば、店舗での調理・接客中心の仕事を「技術・人文知識・国際業務」として申請することは、職務内容によっては在留資格該当性が問題になります。

5.外国人本人への影響

外食業分野で特定技能1号を目指していた外国人本人にとっても、今回の措置は重要です。特に、海外から外食業で来日予定だった方、留学や技能実習から外食業の特定技能1号へ変更しようとしていた方は、申請時期と申請類型を慎重に確認する必要があります。

本人が確認すべきポイント

  • 申請が2026年4月13日より前に受理されているか
  • COE申請なのか、在留資格変更申請なのか
  • 既に外食業分野の特定技能1号で在留しているのか
  • 更新申請なのか、新規変更申請なのか
  • 特定技能2号や他分野への可能性があるか

6.今後の見通し

今回の改正は、特定技能制度が今後さらに「分野別」「上限管理型」「実態重視」の運用へ進むことを示していると考えられます。

飲食料品製造業のように、製造・加工機能を持つ現場では受入れ対象が広がる可能性があります。一方で、外食業のように在留者数が受入れ見込数に達する分野では、新規受入れが制限されます。

企業側は、単に人手不足だから外国人を採用するという発想ではなく、自社の業務がどの分野に該当するのか、対象業務と雇用契約が整合しているのか、受入れ上限や協議会手続に問題がないかを、早い段階で確認する必要があります。

7.実務上のまとめ

分野 今回の方向性 実務上のポイント
飲食料品製造業 対象拡大 食肉小売業が追加。ただし、食料品製造を行う事業所に限られる。
食肉小売業 新たな可能性 販売中心ではなく、加工・製造業務が実態として存在することが重要。
外食業 新規受入れ制限 COEや新規変更は厳しく制限。更新や一部の転職等は個別確認。
受入企業 制度選択が重要 対象分野、職務内容、上限、協議会、支援体制を事前に確認する。

参考資料

特定技能・登録支援機関に関するご相談

特定技能制度は、対象分野、業務内容、協議会加入、支援体制、申請時期によって結論が変わります。特に2026年4月以降は、分野ごとの運用差がより重要になっています。

トミーズリーガルサービス行政書士事務所では、特定技能、登録支援機関、外国人雇用に関するご相談を承っています。

※個別の許可可能性は、在留カード、雇用契約、職務内容、会社資料、過去の申請歴等を確認したうえで判断します。