育成就労の日本語教育は誰が行う?A1・A2講習、100時間と費用負担を解説
育成就労の日本語教育は誰が行う?
A1・A2講習、100時間と費用負担を解説
育成就労では、日本語試験に合格している人と、所定の日本語講習を 受ける人とで取扱いが異なります。就労開始前のA1要件と、 3年間の育成期間中に行うA2への学習措置を分け、 講習提供者、オンライン授業、費用、労働時間、 申請資料及び記録管理を整理します。
This article about Japanese language education under the Employment for Skill Development Program is also available in English.
Read the English version最初に結論:全員が一律に100時間受講する制度ではありません
育成就労の日本語教育では、就労開始前のA1相当要件と、 育成就労期間中にA2相当へ進むための措置を分けて考える必要があります。
「育成就労外国人は全員、入国前に100時間、入国後も毎年 100時間受講する」という制度ではありません。 対象者、時期、試験結果及び分野別基準を個別に確認してください。
育成就労で日本語教育が重視される理由
育成就労制度は、原則3年間の就労を通じて、外国人を 特定技能1号水準まで育成する制度です。
技能だけでなく、職場で安全に指示を理解し、生活上の手続を行い、 雇用条件や相談内容を自分で確認できる日本語力が重要になります。 日本語教育は、育成就労計画の実現可能性、労働災害防止、 本人保護、転籍及び特定技能1号への移行にも関係します。
就労開始前と育成就労期間中の違い
| 比較項目 | 就労開始前 | 育成就労期間中 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 就労を開始するための基礎的日本語の確保 | 育成終了時のA2相当及び特定技能1号移行を見据えた育成 |
| 基本水準 | A1相当 | A2相当。途中段階としてA2.1が関係する場合があります |
| 試験との関係 | 所定試験合格又は所定講習の確認 | 既取得水準と育成目標を確認 |
| 100時間 | 主に所定試験へ未合格の対象者について問題となります | 原則3年間におけるA2講習機会として整理します |
| 費用・日程 | 就労開始前に完了できる契約・日程が必要 | 勤務シフトと両立する3年間の学習計画が必要 |
| 主な記録 | 試験結果、講習計画、出席、修了資料 | 出席、授業内容、進捗評価、修了、試験結果 |
A1・A2.1・A2.2の違い
| 水準 | おおよその状態 | 育成就労上の主な場面 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| A1 | 基本的な定型表現を理解し、ごく簡単なやり取りができる段階 | 就労開始前及び育成開始後の基礎水準 | JLPT N5と完全に同一ではありません |
| A2.1 | A1に到達し、A2.2に向けて学習が進んでいる段階 | 本人意向による転籍等で確認される場合があります | A2.2と同じ水準ではありません |
| A2.2 | 身近な生活・就労場面で基本的なコミュニケーションができる段階 | 育成終了時、特定技能1号移行の基本的目標 | 分野ごとの上乗せ要件を確認します |
JFT-Basicは、145~174点をA1、175~199点を A2.1、200~250点をA2.2として判定する予定です。 試験制度及び育成就労での利用場面は、受験時点の公式案内を 確認してください。
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当事務所では、生活場面、職場連絡、短い案内文及び ヒアリングを含むJFT-Basic初級ミニ模試を公開しています。
本ミニ模試は自己確認用です。公式JFT-Basicの合否、 育成就労制度上のA1・A2.1・A2.2の証明、 100時間講習の免除判断には使用できません。
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就労開始前のA1講習
就労開始前までに所定のA1相当試験へ合格していない場合、 所定の日本語講習を100時間以上受講する方法が問題になります。 所定試験への合格を確認できる場合には、同じA1講習を 一律に求められるとは限りません。
育成期間中のA2講習
育成就労期間中は、原則として3年間を通じてA2相当の 日本語講習を100時間以上受講できる機会を設ける考え方です。 毎年100時間ではなく、3年間全体の学習計画として整理します。
既に所定のA2相当試験へ合格している場合の講習取扱いは、 試験名、合格時期、判定水準及び分野別要件を確認してください。 当事務所のミニ模試や民間のレベルチェックは、 公式試験結果の代わりにはなりません。
100時間の数え方は契約前に確認が必要です
「100時間」と表示されていても、教育機関によって 1コマの時間、休憩、試験、面談、オリエンテーション、 自習、欠席及び補講の扱いが異なる可能性があります。
- 1時間を何分として計算するか
- 休憩時間を除外しているか
- 試験、面談及びオリエンテーションを含むか
- 録画動画による自習を含むか
- 企業内OJTを含むか
- 欠席時の補講があるか
- 複数の教育機関の受講時間を合算できるか
- 修了判定及び最低出席率が設定されているか
企業内OJT、日常会話の補助、録画教材の視聴を、 当然に制度上の100時間へ算入できるとは限りません。 教育機関からカリキュラムと時間計算表を取得してください。
日本語講習を提供できる機関・講師
原則として問題となるのは、認定日本語教育機関の 「就労のための課程」と、登録日本語教員による所定の講習です。
| 提供者候補 | 確認事項 |
|---|---|
| 認定日本語教育機関 | 認定の有無だけでなく、「就労のための課程」の認定範囲を確認 |
| 登録日本語教員 | 登録証、担当範囲、カリキュラム、経過措置の適用条件を確認 |
| 企業内講師 | 日本語が得意というだけでは足りず、講師資格と講習全体の適合性を確認 |
| 監理支援機関 | 監理支援機関であるだけではなく、講師・課程・記録要件を満たすか確認 |
| 登録支援機関 | 特定技能の登録支援機関資格と育成就労講習の提供要件は別問題 |
| 海外の教育機関 | 提供者、講師、授業方法、出席・修了記録及び国内講習との連続性を確認 |
文部科学省が2026年4月30日に公表した認定結果では、 「就労のための課程」の認定機関は0機関でした。 今後の認定状況と経過措置を契約時に再確認する必要があります。
講習提供状況一覧表の見方
出入国在留管理庁は、育成就労制度における日本語教育機関の 講習提供状況一覧表を公表しています。 企業が候補機関を探す際の重要な参考資料になります。
- 一覧表の基準日及び最新版であるか
- A1講習、A2講習のどちらへ対応するか
- 対面、オンライン又は併用の別
- 対応地域及び対応言語
- 開講時期、定員及び申込み期限
- 100時間の計算方法
- 出席、本人確認及び修了判定
- 企業・監理支援機関への報告方法
- 授業料、教材費、試験料等の内訳
オンライン日本語講習は利用できますか
一定の要件を満たすオンライン講習は利用可能と考えられます。 ただし、録画動画を一人で100時間視聴するだけではなく、 教員と受講者が双方向かつ同時にコミュニケーションできる 授業であることが重要です。
- ライブ授業で教員と受講者が双方向にやり取りできる
- 旅券、在留カード等による本人確認方法がある
- ログイン・ログアウト、遅刻、早退及び途中離席を記録できる
- カメラ、マイク及び通信状態のルールがある
- 通信障害時の再受講又は補講方法がある
- 授業記録、出席記録及び評価結果を保存できる
- 海外からの受講可否と時差対応を確認している
講習費用は誰が負担しますか
育成就労実施者又は監理支援機関は、費用負担を含め、 日本語能力向上に必要な措置を講じることが求められます。 所定の日本語講習費用を、当然に外国人本人へ全額請求できるとは 考えない方が安全です。
| 費用 | 基本整理 | 契約で確認する事項 |
|---|---|---|
| 授業料 | 必要な日本語教育措置の中心的費用 | 実施者・監理支援機関のどちらが契約・負担するか |
| 教材費 | 講習に不可欠な場合は授業料と関連 | 見積書で別途か、授業料込みか |
| 試験料 | 講習費とは別項目 | 初回、再受験及び分野別試験の負担者 |
| 交通費 | 一律の取扱いを断定しない | 対面受講時の交通費負担 |
| 通信費・端末 | オンライン環境に必要 | 回線、パソコン、ヘッドセット等の提供者 |
| 補講費 | 欠席原因と契約条件で異なる可能性 | 本人都合、会社都合、通信障害の区別 |
| 行政書士報酬 | 日本語授業料ではない | 計画認定・在留申請・資料確認の報酬として区分 |
| 監理費 | 講習実費と混同しない | 管理簿及び請求明細で内訳を明確化 |
講習時間は労働時間になりますか
育成就労制度上、日本語講習の全時間を一律に労働時間として 扱うと直ちに決まるわけではありません。 しかし、企業が受講を命じ、時間・場所を指定し、 不受講による不利益がある場合などは、 労働法上の労働時間に該当する可能性があります。
- 勤務時間内の受講と賃金支払
- 勤務時間外又は休日の受講命令
- 時間外・休日割増賃金
- 寮・自宅でオンライン受講する場合の管理
- 就業規則、雇用契約書及び労働条件通知書への記載
- 出席記録と勤怠記録の連携
育成就労計画認定申請で確認する日本語教育資料
公式様式・提出書類で確認するもの
- 育成就労計画に記載する日本語能力目標
- 就労開始前の日本語能力を示す試験結果又は講習関係資料
- 入国前・入国後講習の計画
- 分野別運用方針による上乗せ要件
- 費用負担及び本人への説明に関する事項
実務上準備しておきたい資料
- 試験合格証明書又は判定結果通知書
- 講習契約書及び見積書
- 教育機関の認定資料
- 登録日本語教員の登録証明
- カリキュラム及び授業予定表
- 時間数の計算表
- オンライン実施要領
- 本人確認・出席管理方法
- 修了証明書の見本
- 費用負担区分表
- 本人への説明・確認書
許可後に保存すべき記録
- 出席簿、遅刻・早退・欠席及び補講記録
- 各授業の日付、開始終了時刻及び授業内容
- 使用教材
- 担当講師及び資格確認資料
- 評価結果、テスト結果及び進捗表
- 修了証明書
- 教育機関との契約書、見積書、請求書及び領収書
- 本人への説明記録
- オンライン接続ログ
- 監理支援機関の確認記録
- 育成就労日誌及び履行状況管理簿
保存期間は、育成就労関係帳簿の最新規定及び運用要領に従います。 年数を推測せず、申請・監査時点の規定を確認してください。
受入企業・監理支援機関・教育機関の役割
本人の現状、勤務シフト、費用、学習目標及び 職場で必要な日本語を整理します。
育成就労計画との整合、講習実施状況、 本人保護及び監査時の確認を行います。
制度要件に合う講習、出席管理、評価及び修了証明を提供します。
育成就労計画認定、在留申請及び 日本語教育関係資料の整合性を確認します。
労働時間、賃金、給与控除、就業規則及び労働条件を確認します。
企業向けチェックリスト
- 本人の現在の日本語能力を確認した
- 公式試験の判定結果を確認した
- A1講習の必要性を判断した
- 3年間のA2学習計画を作成した
- 分野別上乗せ要件を確認した
- 講習提供者を決定した
- 認定課程又は講師資格を確認した
- 一覧表の基準日を確認した
- 授業時間の計算方法を確認した
- オンライン授業の方法を確認した
- 本人確認・出席確認方法を決めた
- 欠席時の補講方法を確認した
- 修了証明書の発行を確認した
- 費用見積りを取得した
- 費用負担者を明確にした
- 給与控除の適法性を確認した
- 労働時間性を社労士へ確認した
- 勤務シフトと講習日程を調整した
- 育成就労計画へ反映した
- 契約・出席・評価記録の保存方法を決めた
- 特定技能1号移行までの受験計画を作成した
よくある質問
Q1.育成就労外国人は全員100時間の講習を受けますか。
Q2.N5に合格していれば就労開始前講習は不要ですか。
Q3.育成期間中の100時間は毎年必要ですか。
Q4.会社の日本語が得意な社員が教えてもよいですか。
Q5.オンライン講習でも認められますか。
Q6.講習費用は外国人本人が負担しますか。
Q7.講習費を給与から控除できますか。
Q8.講習時間は勤務時間ですか。
Q9.一覧掲載の教育機関なら必ず利用できますか。
Q10.行政書士には何を依頼できますか。
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トミーズリーガルサービス行政書士事務所では、 本人の日本語能力資料、A1・A2講習の必要性、 教育機関・講師資格、講習契約、費用負担、 出席・修了記録及び育成就労計画との整合性を確認します。
労働時間、賃金、給与控除、就業規則及び社会保険については、 社会保険労務士へ確認すべき事項を区分してご案内します。
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