不法就労助長罪を許認可の「欠格事由」へ―外国人の不適正雇用が事業継続に影響する可能性
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不法就労助長罪を許認可の「欠格事由」へ
外国人の不適正雇用が事業継続に影響する可能性
不法就労助長罪で処罰された事業者について、事業に必要な許認可の欠格事由に追加するよう、出入国在留管理庁が関係省庁へ要請する方針であると報じられました。制度化された場合、外国人の不適正雇用が、刑事罰だけでなく、許可の取得・更新や事業継続にも影響する可能性があります。
今回報道された「欠格事由への追加」とは
2026年7月、不法就労助長罪で処罰された事業者について、事業に必要な許可、認可、登録などの「欠格事由」に追加するよう、出入国在留管理庁が関係省庁に要請する方針であると報じられました。
欠格事由とは、一定の事情に該当する人や法人について、特定の許可、認可、登録などを受けることができないとする制度です。
今後、各業種の法律に不法就労助長罪が欠格事由として追加された場合、処罰を受けた事業者やその役員について、一定期間、新規許可を取得できない、既存許可を更新できないなどの影響が生じる可能性があります。
制度化された場合に想定される影響
- 新規の許可、認可又は登録を受けられない可能性
- 既存許可の更新が認められない可能性
- 既存許可が取り消される可能性
- 一定期間、同じ業種へ再参入できない可能性
- 代表者や役員の処分が法人の許認可に影響する可能性
ただし、これらが実際にどのように適用されるかは、今後の法改正や各業種を所管する省庁の制度設計によって異なります。
現時点では制度が確定したわけではありません
今回の報道で特に注意すべき点は、現段階が「制度の施行」ではなく、入管庁が関係省庁に欠格事由への追加を要請する方針であるという点です。
現時点では、少なくとも次の事項は一律に確定していません。
- 対象となる業種
- 対象となる許可、認可又は登録
- 欠格期間
- 法人、代表者及び役員への適用範囲
- 既存許可の取消し又は更新拒否の取扱い
- 過去の処罰への適用関係
- 施行日及び経過措置
したがって、「不法就労助長罪で処罰されれば、現在すぐにすべての業種で営業できなくなる」と理解するのは正確ではありません。
今後、各業種を所管する省庁から公表される法案、政省令、通達、ガイドラインなどを確認する必要があります。
不法就労助長罪とは
不法就労助長罪は、就労することが認められていない外国人を働かせたり、外国人に認められた範囲を超える仕事をさせたり、不法就労をあっせんするなどの行為について、雇用主や関係者の責任を問う制度です。
外国人本人が有効な在留カードを持っている場合でも、すべての仕事を自由に行えるわけではありません。
日本の在留資格制度では、在留資格ごとに日本で行うことのできる活動が定められています。留学や家族滞在の在留資格を持つ外国人が資格外活動許可を受けている場合にも、就労時間や業種などに制限があります。
| 確認対象 | 在留カードの有効期限だけでなく、在留資格、就労制限及び資格外活動許可の有無を確認します。 |
|---|---|
| 仕事内容 | 契約書上の職務だけでなく、実際に現場で行っている業務が在留資格に適合しているか確認します。 |
| 勤務場所 | 雇用契約上の勤務先と実際の勤務場所が一致しているか確認します。 |
| 契約関係 | 雇用、派遣、請負、出向又は業務委託の名称だけでなく、実際の指揮命令関係を確認します。 |
有効な在留カードがあっても問題になる可能性があります
外国人の在留カードが有効であることと、その外国人が現在担当している業務を適法に行えることは、必ずしも同じではありません。
在留資格と実際の仕事内容が異なる場合
例えば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ外国人であっても、実際には専門的業務ではなく、単純作業を恒常的に担当している場合には、在留資格に適合しない就労と判断される可能性があります。
所属先と実際の勤務先が異なる場合
雇用契約を締結した会社とは異なる会社や事業所で働かせている場合は、在留資格上の所属機関、派遣又は請負契約、実際の指揮命令関係を確認する必要があります。
資格外活動許可の範囲を超える場合
留学生や家族滞在者が資格外活動許可を受けていても、就労時間の上限や禁止される業種などの制限があります。
本人の説明だけを信じて確認しなかった場合
外国人本人が「この在留資格で働ける」「申請中なので問題ない」と説明したとしても、それだけで会社側の確認が十分になるとは限りません。
会社側でも、在留カード、パスポート、許可の内容、申請受付状況、実際の職務内容などを確認し、その記録を残すことが重要です。
許認可事業者にとって特に重大な理由
許可、認可又は登録がなければ営業できない事業者にとって、不法就労助長罪が欠格事由に追加されることは、極めて重大な意味を持ちます。
これまで、不法就労の問題については、刑事罰、入管への対応、外国人本人の在留資格への影響などが中心に意識されてきました。
今後、業法上の欠格事由と結び付けられた場合には、会社の本業に必要な許認可を維持できるかという問題に発展する可能性があります。
事業継続上のリスク
- 営業に必要な許認可を更新できなくなる
- 新規店舗や新規事業の許可を取得できなくなる
- 代表者又は役員の処分が法人へ影響する
- 取引先や元請会社から契約を見直される
- 金融機関、取引先及び採用候補者からの信用が低下する
ただし、どの業種が対象となるか、法人と役員の関係をどのように定めるか、既存許可の取消しまで行うかについては、今後の制度内容を確認する必要があります。
事業者が今から確認すべき7項目
制度の詳細が決まるまで何もしなくてよいわけではありません。外国人を雇用している事業者は、現在の雇用管理を点検しておくことが重要です。
-
在留カードの表面と裏面を確認する
在留資格、在留期間、就労制限、資格外活動許可などを確認します。 -
在留期限を管理する
更新申請の予定日、申請受付日及び新しい在留カードの受領日を記録します。 -
就労制限と資格外活動許可を確認する
就労可能な時間、業務及び勤務先に制限がないか確認します。 -
在留資格と実際の仕事内容を照合する
雇用契約書の職務名ではなく、日常的に行っている具体的な業務を確認します。 -
雇用契約上の勤務場所と実勤務場所を確認する
別店舗、別会社、取引先又は現場で勤務している場合は、契約関係と指揮命令関係を確認します。 -
派遣、請負、出向及び業務委託の実態を確認する
契約書の名称だけでなく、誰が業務を指示し、誰が勤務時間や休日を管理しているか確認します。 -
確認日、確認者及び確認内容を記録する
在留カードの写しだけでなく、職務内容、勤務場所及び確認結果を記録として残します。
採用時の確認だけでは十分ではありません
外国人を採用した時点では適正な仕事内容であっても、その後の配置転換や人手不足への対応により、在留資格に適合しない業務を担当させてしまうことがあります。
特に、次のような変更がある場合には、在留資格との適合性を再確認することが重要です。
- 部署又は担当業務を変更するとき
- 勤務店舗、事業所又は現場を変更するとき
- 他社へ出向させるとき
- 請負又は派遣の契約関係を変更するとき
- 正社員、アルバイト又は業務委託などの契約形態を変更するとき
- 在留資格の更新又は変更を申請するとき
人事担当者が適切に管理していても、現場責任者が外国人に契約外の業務を指示してしまうケースがあります。
外国人雇用管理は、人事部門だけの問題ではありません。代表者、役員、現場管理者及び外国人本人の間で、担当できる業務の範囲を共有する必要があります。
今後の制度改正で確認すべきポイント
今回の報道を受けて、今後は関係省庁による検討状況を継続的に確認する必要があります。
| 対象業種 | どの業種の許可、認可又は登録に欠格事由が追加されるか。 |
|---|---|
| 対象者 | 法人、個人事業主、代表者、役員、使用人など、誰が対象となるか。 |
| 対象となる処分 | 罰金刑、有罪判決、執行猶予など、どの範囲で欠格事由に該当するか。 |
| 欠格期間 | 処分後、何年間許認可を取得又は更新できないのか。 |
| 既存許可 | 既存許可を直ちに取り消すのか、更新時に判断するのか。 |
| 経過措置 | 施行日前の行為や処分をどのように扱うか。 |
報道内容、政府の検討方針、成立した法律及び実際の施行制度を区別して確認することが重要です。
まとめ
不法就労助長罪を各業種の許認可における欠格事由へ追加する動きは、外国人雇用管理の重要性をさらに高めるものです。
制度改正が実現した場合、外国人の不適正雇用は、刑事罰や入管上の問題だけでなく、会社が本業を継続できるかという問題につながる可能性があります。
一方、現時点では入管庁が関係省庁へ制度改正を要請する方針であるとの報道段階であり、対象業種、欠格期間、許可取消しの範囲及び施行時期などは確定していません。
外国人を雇用している事業者は、制度の確定を待つだけでなく、在留カード、在留資格、実際の仕事内容、勤務場所及び雇用・派遣・請負関係を現在の段階から点検しておくことが重要です。
報道資料:
読売新聞「不法就労助長罪の『欠格事由』追加、入管庁が要請へ…一定期間は同業の事業不可に」
本記事は、2026年7月13日時点で確認できる報道内容を基に作成しています。今後、政府又は関係省庁から正式な法案、政省令、通達等が公表された場合は、内容を更新する予定です。
外国人の在留資格と仕事内容に不安がある事業者様へ
外国人を採用する際は、在留カードの確認だけでなく、在留資格、実際の仕事内容、勤務場所、雇用・派遣・請負関係を総合的に確認する必要があります。採用前、配置転換前又は契約変更前の確認についてご相談ください。