外国人ベビーシッターを「技人国」で呼べるのか?報道事例から見る在留資格の注意点

Immigration Practice Note

外国人ベビーシッターを「技人国」で呼べるのか?報道事例から見る在留資格の注意点

外国人雇用では、在留資格名だけでなく、実際の業務内容、勤務場所、契約内容、本人の経歴との整合性が重要です。報道事例をもとに、技術・人文知識・国際業務とベビーシッター業務の注意点を整理します。

2026年6月、外国人ベビーシッターを不正に入国させた疑いで、会社役員夫婦が逮捕されたとの報道がありました。報道によれば、申請上は通訳や情報処理などの仕事に携わる内容で在留資格を申請したものの、実際にはベビーシッターとして働かせていた疑いがあるとされています。

ただし、逮捕は有罪確定ではありません。報道されている事実関係についても、今後の捜査や裁判で判断されるべきものです。

この事例から実務上重要なのは、国籍や属性ではなく、「申請書類に記載した活動内容」と「実際に行う活動内容」が一致しているかという点です。

報道事例のポイント

報道では、通訳や情報処理などの仕事に携わる内容で在留資格を申請し、中国人ベビーシッターを不正に入国させた疑いがあるとされています。

このような事案では、外国人本人だけでなく、雇用主、受入企業、仲介者、書類作成に関与した者にもリスクが及ぶ可能性があります。

注意:本記事は、個別事件の有罪・無罪を判断するものではありません。報道事例をきっかけに、在留資格申請における一般的な注意点を整理するものです。

「技術・人文知識・国際業務」とは

「技術・人文知識・国際業務」は、一般に「技人国」と呼ばれる就労系在留資格です。

出入国在留管理庁は、この在留資格について、理学・工学などの自然科学分野、法律学・経済学・社会学などの人文科学分野、または外国文化に基盤を有する思考・感受性を必要とする業務に従事する活動と説明しています。

該当例としては、機械工学等の技術者、通訳、デザイナー、私企業の語学教師、マーケティング業務従事者等が挙げられています。

Sample Japanese eVisa issuance notice
在留資格・ビザ関連の手続では、書類上の説明と実際の活動内容の整合性が重要です。

ポイント:技人国は、単に「外国人を雇用するためのビザ」ではありません。本人の学歴・職歴と、実際に従事する業務内容との間に、一定の関連性と専門性が必要になります。

ベビーシッター業務は「技人国」で当然に認められるわけではない

ベビーシッター、家事補助、家庭内での育児支援などの業務は、一般的には「技術・人文知識・国際業務」の典型的な対象業務ではありません。

たとえば、申請書や雇用契約書では「通訳」「事務」「情報処理」と記載しているのに、実際には個人宅で子どもの世話をしている場合、申請内容と実態が異なると判断される可能性があります。

特に、勤務先として会社を記載していても、実際の勤務場所が個人宅であり、業務内容が家庭内の育児・家事補助である場合には、慎重な検討が必要です。

「会社で雇っているから大丈夫」とは限らない

実務上、よくある誤解が「会社で雇用契約を結べば、どのような仕事でも就労ビザで働ける」というものです。

しかし、在留資格の審査では、雇用契約の有無だけではなく、実際の業務内容、勤務場所、指揮命令関係、報酬、本人の経歴との関連性などが確認されます。

書類上は会社の業務とされていても、実際には家庭内の育児・家事補助を行う場合、在留資格該当性に問題が生じる可能性があります。

虚偽申請と見られやすいパターン

  • 申請書には専門職の業務を書いているが、実際の業務が異なる
  • 通訳・事務・マーケティングと説明しているが、実際は家事や育児補助である
  • 勤務先として記載された会社で働く実態が乏しい
  • 雇用契約書の内容と日常の勤務実態が一致していない
  • 本人の学歴・職歴と申請業務の関連性が弱い
  • 受入機関が業務内容や雇用の必要性を十分に説明できない

在留資格申請では、形式的に書類を整えるだけでは不十分です。入管は、提出資料だけでなく、必要に応じて勤務実態や受入機関の状況も確認します。

Japanese re-entry permit stamp
在留管理では、許可された活動内容と実際の活動内容が一致しているかが重要です。

行政書士目線で見る4つの確認ポイント

外国人を雇用する場合、特に次の4つの視点で確認することが重要です。

1.本人

学歴、職歴、資格、語学力などが、予定する業務とどのようにつながるのかを確認します。

2.勤務先・受入機関

会社の事業内容、雇用の必要性、業務量、給与支払能力、勤務場所などを確認します。

3.提出資料

雇用契約書、理由書、会社資料、業務内容説明書などが、実態と矛盾していないかを確認します。

4.審査傾向

形式的な説明だけでなく、実際にその業務を行う必要性や、本人の経歴との整合性が重視されます。

令和8年4月15日以降の技人国申請にも注意

出入国在留管理庁の案内では、令和8年4月15日以降の申請から、カテゴリー3又は4に該当する場合は、所属機関の代表者に関する申告書などの追加資料が必要になるとされています。

また、主に言語能力を用いて対人業務等に従事する場合には、業務上使用する言語について、CEFR・B2相当の言語能力を証する資料が必要になる場合があります。

通訳、接客、外国語対応業務などを理由として技人国を申請する場合は、単に職務名を整えるだけでなく、実際の業務内容、言語能力、勤務実態を説明できるようにしておくことが重要です。

問題は「外国人」ではなく「制度の目的と実態のズレ」

外国人を雇用すること自体が問題なのではありません。

問題は、本来の在留資格の目的と、実際に行わせる業務内容がずれてしまうことです。

特に、家庭内業務、育児補助、家事補助、名目上の専門職、実態のない雇用契約などが関係する場合は、申請前の段階で慎重に確認する必要があります。

外国人材を適正に受け入れるためには、制度を正しく理解し、実態に合った在留資格を選ぶことが大切です。

外国人雇用・在留資格申請で不安がある方へ

業務内容と在留資格が合っているかは、申請前の確認が重要です。トミーズリーガルサービス行政書士事務所では、技術・人文知識・国際業務、経営・管理、特定技能、在留資格認定証明書交付申請などについて、実務上のリスクを踏まえてご相談を承ります。

トミーズリーガルサービス行政書士事務所

代表行政書士 富永 大祐
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行政書士登録番号:21080644
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