経営・管理ビザの「4か月」とは?会社設立前の申請と2025年改正後の注意点
2026年7月26日現在
Business Manager Status / Four-Month Period
経営・管理の「4か月」は
会社設立前に使えるのか
在留期間4か月の位置付け、会社設立前の申請、在留カード・住民票・銀行口座、2025年改正後の新基準、スタートアップビザとの違いを整理します。
「4か月ビザ」という独立した在留資格や仮許可があるわけではありません。在留資格は「経営・管理」であり、4か月は許可され得る在留期間の一つです。
1.まず結論:4か月の「経営・管理」は現在も存在します
出入国在留管理庁の案内では、在留資格「経営・管理」の在留期間は、5年、3年、1年、6月、4月又は3月とされています。したがって、4か月という在留期間そのものは、2025年10月16日の基準改正後も制度上存在します。
また、JETROの拠点設立Q&Aでは、拠点設立前の就労資格取得は原則としてできない一方、4か月間の「経営・管理」等については、拠点設立前でも利用し得ると案内されています。
ただし、これは「事業計画書だけで簡単に取得できる」「会社設立後の通常申請より審査が軽い」という意味ではありません。設立前の段階で、事業の具体性、資金、常勤職員、事業所、許認可、申請人の経歴等をどのように立証するかが重要です。
2.4か月は独立したビザではなく、在留期間の一つです
一般には「4か月の経営・管理ビザ」と呼ばれることがありますが、法律上の在留資格名は「経営・管理」です。4か月は、その在留資格について決定される在留期間の一つにすぎません。
この整理は重要です。4か月だから活動内容や上陸基準が別になるのではなく、日本で事業を経営し、又は事業の管理に従事するという「経営・管理」の活動に該当し、現行の許可基準を満たすことが前提になります。
3.なぜ会社設立前の外国人に4か月という選択肢があるのか
海外在住者が日本で会社を設立しようとすると、資本金の払込み、事務所契約、会社印の準備、設立登記、銀行口座、許認可などが相互に関係します。日本に住所や協力者がいない場合、海外からすべてを完了させることが難しいケースがあります。
4か月の在留期間は、この準備上の問題に対応し得る選択肢として説明されています。ただし、申請時点で準備が何もない状態を許容する制度ではありません。会社名、事業内容、資金計画、出資者、事業所候補、雇用計画、許認可の見通し、入国後の工程などを具体的な資料で示す必要があります。
4.申請から入国までの基本的な流れ
必要書類と申請方法は、申請人、会社形態、事業、カテゴリー及び管轄によって異なります。
5.入国後4か月間に進める主な手続
4か月という期間は短いため、入国後に考え始めるのでは間に合わない可能性があります。会社設立や事業開始までの順番を申請前から設計しておく必要があります。
- 住居地の届出、住民票その他の生活基盤の整備
- 会社の定款作成・認証、出資金の払込み、設立登記
- 事業規模と事業内容に合う独立した事業所の確保
- 常勤職員の雇用契約、労働・社会保険関係の準備
- 税務署、都道府県、市区町村等への法人設立届
- 事業に必要な許認可の申請
- 契約、仕入先、販売先、設備等の事業実体の整備
- 次回の在留期間更新に向けた立証資料の蓄積
6.在留カード・住民票・印鑑登録
在留カードの対象外となるのは、原則として「3か月」以下の在留期間が決定された人などです。4か月は3か月を超えるため、他の除外事由に該当しなければ中長期在留者として在留カードの対象になります。
住所を定めた後は、住居地を定めてから14日以内に市区町村へ届け出ます。住民票が作成されれば、自治体の要件に従い印鑑登録などの手続を進められる場合があります。
なお、2026年6月14日からは、在留カードとマイナンバーカードの機能を一体化した「特定在留カード」の運用も始まっています。必要性と申請方法は個別に確認してください。
7.銀行口座は必ず開設できるわけではありません
在留カードや住民票があることと、銀行口座を開設できることは同じではありません。各金融機関が、住所、在留資格、在留期限、取引目的、事業実体、本人確認その他の事項を独自に審査します。
例えば、ゆうちょ銀行は、口座開設申込日から在留期間満了日までが3か月以内の場合、在留期間更新後に申し込むよう案内しています。4か月で入国した場合、準備に時間を要すると、申込みが可能な期間が非常に短くなることがあります。
8.2025年10月16日改正後の主な新基準
これから認定申請をする場合は、4か月を希望する場合でも改正後の基準を前提に準備します。主な確認事項は次のとおりです。
| 項目 | 主な基準・確認事項 | 実務上の注意 |
|---|---|---|
| 常勤職員 | 原則として1人以上の常勤職員を雇用 | 算入できる国籍・在留資格を確認します。 |
| 資本金等 | 事業用財産の総額又は資本金等が3,000万円以上 | 法人と個人事業では確認方法が異なります。 |
| 日本語能力 | 経営者又は対象となる常勤職員がB2相当以上 | 誰の能力で、どの資料により証明するかを整理します。 |
| 経歴・学位 | 申請人の経営管理経験又は一定の関連学位 | 職歴証明、学位証明と事業内容の関連性が重要です。 |
| 事業計画 | 具体性・合理性・実現可能性の確認 | 指定された専門家による確認が必要となる場合があります。 |
| 事業所・許認可 | 事業規模に合う事業所と必要な許認可 | 短期賃貸、仮想オフィス、自宅兼用等は慎重な検討が必要です。 |
さらに、2026年4月15日以降の申請では、所属機関のカテゴリー等により追加書類が必要となる取扱いがあります。申請直前に、出入国在留管理庁の最新チェックシートを確認してください。
詳しい新基準は、当事務所の経営・管理ビザの総合案内及び2025年改正の解説もご参照ください。
9.4か月から1年等への更新は自動ではありません
4か月の在留期間が満了する前に在留期間更新許可申請をしても、自動的に1年等が許可されるわけではありません。入国後に予定どおり準備を進め、実際に「経営・管理」の活動を行える状態になったことを資料で説明します。
- 会社設立登記と資本金等の状態
- 独立した事業所の確保と実際の使用状況
- 常勤職員の雇用と給与・保険関係
- 事業計画と実際の契約・取引・許認可の進捗
- 税務、社会保険、労働関係法令の履行状況
- 申請人が実質的に経営又は管理へ参画していること
準備が遅れた理由、当初計画から変更した理由、今後の見通しも、客観資料と整合する形で説明する必要があります。
10.通常申請・4か月・スタートアップビザの比較
| ルート | 在留資格 | 主な特徴 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| 通常の経営・管理 | 経営・管理 | 原則として会社・事業体制を整えてから申請 | 海外在住者は資本金払込み、事務所、雇用等の準備が難しい場合があります。 |
| 4か月の経営・管理 | 経営・管理 | 会社等の拠点設立前でも申請し得ると案内されています。 | 期間が短く、新基準の回避策ではありません。更新も自動ではありません。 |
| スタートアップビザ | 特定活動 | 認定団体の支援を受けながら起業準備 | 実施地域、対象事業、支援計画及び定期的な進捗確認があります。 |
11.横浜市スタートアップビザを検討するとき
横浜市の制度では、起業準備活動計画について、1年以内に「経営・管理」の要件を満たす見込みがあると判断された場合に確認証明書が発行され、入管の審査を経て最長2年間の「特定活動」が認められる仕組みです。
ただし、対象となるのは、AI・DX等の革新的技術、健康医療、知識集約・付加価値創造型、新たな製品・サービスやビジネスモデルの創出を目指す事業等です。一般的な卸売、小売、商社・貿易、飲食、宿泊、サービス業などは対象外と案内されています。
したがって、「横浜で起業する」「中古車輸出や一般貿易を行う」という事情だけで横浜市スタートアップビザを利用できるとは限りません。申請前の事前相談が必須です。
12.どのルートを選ぶべきか
制度名だけで選ぶのではなく、次の順番で検討すると整理しやすくなります。
- 事業内容:許認可、店舗・倉庫、在庫、輸出入、専門人材等が必要か。
- 資金:3,000万円以上の資本金等と資金の出所を説明できるか。
- 人員:算入可能な常勤職員をいつ、どの条件で雇用できるか。
- 日本語体制:申請人又は対象職員のB2相当をどう証明するか。
- 経歴:経営管理経験又は関連学位を資料で示せるか。
- 準備拠点:日本国内の協力者、住所、事務所契約、登記手続をどう進めるか。
- 地域制度:スタートアップビザの実施地域と対象事業に合うか。
13.申請前に確認するチェックリスト
- 日本語版と英語版を含む具体的な事業計画がある
- 売上予測の根拠となる見積、契約、調査資料がある
- 出資金の出所と送金経路を説明できる
- 常勤職員の候補と算入可能性を確認した
- B2相当の日本語能力の立証者と資料を決めた
- 申請人の経歴・学位の証明資料を準備できる
- 事業所候補の用途・独立性・契約条件を確認した
- 業種に必要な許認可と取得時期を確認した
- 入国後4か月間の週単位の工程表がある
- 更新時に提出する証拠を最初から保存する体制がある
14.よくある質問
4か月の経営・管理は廃止されましたか。
会社をまだ設立していなくても申請できますか。
4か月なら資本金等3,000万円は不要ですか。
新基準を回避する制度としては案内されていません。4か月を希望する新規申請でも、現行の資本金等、常勤職員、日本語能力、経歴・学位、事業計画、事業所等を前提に検討します。
日本人の協力者がいなくても進められますか。
制度上の問題と会社設立実務上の問題を分けて検討する必要があります。資本金払込み、登記、事務所、郵便物の受領、雇用、銀行手続等を海外からどう進めるか、具体的な実施体制を確認してください。
4か月後は必ず1年に更新できますか。
いいえ。更新は個別審査です。入国後に会社設立、事業所、雇用、許認可、契約等をどこまで実現し、「経営・管理」の活動を継続できるかを資料で説明します。
関連ページ
会社設立や事務所契約の前に、申請の順番をご相談ください
4か月の「経営・管理」、通常の「経営・管理」、スタートアップビザのどれが適するかは、事業内容、資本金、常勤職員、日本語能力、経歴、許認可と現在の準備状況によって異なります。
主な公的参考情報
- 出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』」
- 出入国在留管理庁「『経営・管理』に係る上陸基準省令等の改正について」
- JETRO「日本での拠点設立方法Q&A」
- JETRO「在留カード及び在留管理制度」
- ゆうちょ銀行「外国人は口座開設できますか」
- 経済産業省「外国人起業活動促進事業(スタートアップビザ)」
- 横浜市「外国人起業活動促進事業(横浜市スタートアップビザ)」
本記事は一般的な制度情報です。必要書類と判断は、申請区分、事業内容、会社のカテゴリー、申請人の経歴及び最新の運用によって異なります。