永住申請に「厚生年金30年」が必要になる?第二次基本計画と現行要件を分けて解説

PERMANENT RESIDENCE POLICY CHECK

永住申請に「厚生年金30年」が必要になる?第二次基本計画と現行要件を分けて解説

見出しだけで判断せず、「現在の正式要件」「基本計画で公式化された検討方向」「報道された案」「まだ決まっていない事項」を区別します。

情報基準日:2026年8月1日 永住許可 年金・公的義務

Read in English

結論: 2026年8月1日現在、永住申請に「厚生年金へ実際に30年間加入していること」を求める正式な要件は確認できません。第二次出入国在留管理基本計画は永住許可要件を見直す方向を正式に示しましたが、年金加入年数、具体的年収、日本語レベル、施行日、経過措置は示していません。

この記事のポイント

論点 2026年8月1日時点の位置付け
税・年金・健康保険の適正な履行 現在の正式要件。現行ガイドラインは公的義務を適正に履行していることを求め、期限後納付も不利益に評価され得ると説明しています。
永住許可要件の見直し 第二次基本計画で正式な政策方向になった。今後、独立生計要件・国益要件等を含めて検討されます。
一定水準の日本語能力・学習プログラム 基本計画上の検討事項。試験名、レベル、対象、免除、開始時期は未公表です。
「厚生年金30年水準」 報道された案。基本計画本文に30年という具体的数値はありません。
実際の30年間加入 現行要件ではない。報道上の「水準」を実加入期間30年と読み替えることもできません。

1.現在正式に適用されている永住許可要件

出入国在留管理庁の「永住許可に関するガイドライン(令和8年2月24日改訂)」は、原則として次の三つを掲げています。

素行が善良であること

法律を守り、社会的に非難されることのない生活をしているかが確認されます。刑事処分だけでなく、交通違反や届出状況も案件に応じて検討対象になり得ます。

独立の生計を営めること

日常生活で公共の負担とならず、資産又は技能等から将来安定した生活が見込まれるかを、世帯状況も含めて判断します。ガイドラインには「年収300万円」などの一律の公表額はありません。

日本国の利益に合すると認められること

原則的な在留年数、罰金刑・懲役刑等がないこと、公的義務の適正な履行、現に有する在留資格で最長の在留期間を持つこと等が含まれます。日本人・永住者の配偶者、難民等には在留年数に関する例外があります。

年金はすでに審査対象です。 重要なのは「将来30年加入できるか」という単純な数字ではなく、現在までの加入、納付、免除・猶予、資格記録、期限内履行を資料で確認できることです。
永住申請に向けて年金や収入の資料を確認するイメージ
年金記録は、加入制度・納付期限・免除や猶予の有無を月単位で確認します。

2.第二次基本計画で公式化された永住許可の見直し

2026年7月31日に公表された第二次出入国在留管理基本計画は、永住許可前の在留状況・在留年数の調査、許可要件や運用の見直しを検討するとしました。日本語については「一定水準以上の日本語能力」、学習については日本語や日本の制度・ルール等を学ぶプログラムの受講を条件とすることを検討すると記載しています。

さらに、独立生計要件と国益要件の見直しも検討対象です。したがって、永住許可の厳格化又は適正化を検討する方向自体は、単なる報道ではなく正式な計画に位置付けられたといえます。

ただし、これは新要件の施行ではありません。 「検討する」という政策文書上の表現を、直ちに「申請要件になった」と言い換えることはできません。

3.2026年7月に報道された改定案

一部報道は、永住許可について、日本人の平均的な収入水準、老齢厚生年金の「30年水準」、資産、日本語や制度・ルールの理解等を考慮する案を伝えました。これらは将来の検討材料として注目されますが、報道された表現・数値と、最終的な法令やガイドラインは同一ではありません。

第二次基本計画は、収入・生計、日本語・制度学習を含む見直し方向を裏付けました。一方、同計画本文には「30年」という具体的数値や計算方法はありません。

4.「厚生年金30年水準」は実加入30年と同じではない

報道上の「30年水準」が将来どのように定義されるかは、公式な計算方法が出るまで確定できません。仮に将来の年金見込み額を参照する制度が検討されたとしても、加入期間だけで年金額は決まりません。

  • 標準報酬月額・標準賞与額
  • 厚生年金と国民年金の加入履歴
  • 保険料免除・納付猶予・追納
  • 転職、自営業、海外期間、被扶養期間
  • 配偶者や世帯全体の生活基盤

同じ加入年数でも記録と見込み額は異なります。「30年未満なら不許可」「30年以上なら許可」といった単純な線引きは、現時点の公式資料からは導けません。

5.まだ正式に公表されていない事項

  • 必要とされる具体的な年収額又は所得計算式
  • 年金の評価方法、対象期間、世帯合算の可否
  • 必要な日本語試験、レベル、免除対象
  • 学習プログラムの内容、受講方法、対象者
  • 新基準の施行日と申請中案件への適用
  • 長期在留者、配偶者、難民等への経過措置

これらが公表されるまでは、現在のガイドラインと個別の提出書類案内に基づいて準備し、将来情報は別枠で監視するのが適切です。

6.今から確認したい実務上の4つの視点

本人

在留歴、転職、扶養、長期出国、届出、違反歴を時系列で整理します。税・年金・健康保険は未納だけでなく納付期限も確認します。

勤務先・事業所

雇用契約、職務、給与、社会保険、源泉徴収の整合性を確認します。勤務先側の手続漏れが本人資料に影響する場合があります。

提出資料

課税・納税証明、ねんきんネット、領収資料、健康保険、給与・預金資料を突き合わせ、差があれば説明資料を準備します。

審査傾向

報道の数値だけで申請時期を決めず、正式改訂を確認します。現在の弱点を改善する時間と、在留期限から逆算します。

税金と年金記録を計算機で照合するイメージ
公的義務は、税・年金・健康保険を別々に見るだけでなく、勤務・収入・住所の記録と合わせて確認します。

7.よくある質問

厚生年金に30年加入していなければ、今は永住申請できませんか。

そのような現行の公表要件はありません。ただし、現在までの年金加入・納付状況は審査対象です。

日本語試験はもう必須ですか。

必須化されていません。基本計画は一定水準の日本語能力や学習プログラムを「検討する」としていますが、具体的要件は未公表です。

年収が日本人平均未満なら不許可ですか。

現行ガイドラインに一律の公表年収額はありません。世帯構成、扶養人数、収入の安定性、資産等を含む個別判断です。将来の基準も確定していません。

今は申請を待つべきですか。

在留歴、公的義務、家族・勤務状況、今後の改正時期で判断が変わります。報道だけを理由に一律に急ぐ、又は待つのではなく、個別資料を確認してください。

現行要件の全体像は永住許可申請2026|要件・年収・税金・年金・健康保険チェック、政策全体は第二次出入国在留管理基本計画の総合解説をご覧ください。

確認した主な資料

本記事は2026年8月1日時点の公表情報に基づく一般的な解説です。正式な制度改正が公表された場合は、最新情報を確認してください。