【2026年3月】在留手数料引上げ法案とJESTAとは?外国人・企業が知っておきたいポイント
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外国人本人・企業が確認すべきポイント
2026年3月10日に閣議決定された入管法改正案は、電子渡航認証制度「JESTA」の創設と、在留資格変更・在留期間更新・永住許可などに関する手数料の法定上限額引上げを含むものです。2026年4月28日には衆議院を通過しましたが、実際の手数料額や施行時期は、成立後の政令等で確認する必要があります。
この記事のポイント:「最大30倍」という報道は、主に永住許可の法定上限額に関する話です。現時点で、すべての在留手数料が直ちに10万円又は30万円になった、という意味ではありません。
まず確認したい3つのポイント
法案は衆議院を通過
2026年4月28日に衆議院を通過しました。今後、参議院での審議・成立状況を確認する必要があります。
上限額と実額は別
法律で定める「上限額」が上がっても、実際に支払う金額は政令等で定められます。
JESTAは短期滞在の入口管理
主に査証免除で来日する短期滞在者の事前認証制度であり、中長期在留の更新・変更とは別の制度です。
「最大30倍」とはどういう意味ですか?
今回の改正案で注目されているのは、在留手続に関する手数料の法定上限額の引上げです。報道や公表資料では、在留資格変更許可・在留期間更新許可については上限10万円、永住許可については上限30万円とする方向が示されています。
ただし、ここで重要なのは、これはあくまで「法律上、そこまで定められるようにする上限額」の話であり、実際に窓口やオンライン申請で納付する金額そのものが、直ちにその額になるという意味ではないことです。
| 手続 | 現行の代表的な手数料 | 改正案で示される法定上限額の方向性 | 実務上の見方 |
|---|---|---|---|
| 在留資格変更許可 | 窓口申請:6,000円 オンライン申請:5,500円 |
上限10万円 | 実際の金額は成立後の政令等で確認が必要です。 |
| 在留期間更新許可 | 窓口申請:6,000円 オンライン申請:5,500円 |
上限10万円 | 外国人本人だけでなく、雇用企業側の費用負担ルールにも影響する可能性があります。 |
| 永住許可 | 10,000円 | 上限30万円 | 引上げ幅が大きいため、申請時期・要件充足性・不安材料の確認がより重要になります。 |
※上記の現行手数料は、2025年4月1日以降に受け付けられた申請に適用されている代表例です。最新の実額は必ず出入国在留管理庁の公表情報で確認してください。
JESTAとは?在留資格の更新・変更とは別の制度です
JESTAは、査証を必要としない短期滞在者について、日本への渡航前にオンラインで認証を受ける仕組みとして検討されている制度です。米国のESTAの日本版として説明されることもあります。
目的は、来日前の段階で一定の情報を確認し、不法滞在や上陸拒否事由に関係するリスクを早期に把握すること、また問題のない渡航者については上陸審査を円滑化することにあります。
注意点:JESTAは、主に観光、短期商用、親族訪問などの短期滞在に関する制度です。日本で暮らしている中長期在留者の在留期間更新、在留資格変更、永住許可とは、直接の手続構造が異なります。
外国人本人が注意すべきこと
在留資格の更新、変更、永住許可を予定している方は、単に「手数料が上がる前に急いで申請する」という考え方だけでは危険です。申請は、要件を満たしていること、説明すべき事情が整理されていること、提出資料が揃っていることが前提です。
- 現在の在留資格、在留期限、次に必要な手続を確認する
- 更新・変更・永住の要件を満たしているか確認する
- 納税、年金、健康保険、扶養、交通違反、転職歴などの不安材料を整理する
- 永住許可を検討している場合は、申請時期を慎重に判断する
- 報道ベースの金額と、確定した政令上の金額を混同しない
企業が注意すべきこと
外国人を雇用する企業にとって、在留手数料の引上げは、採用後の在留維持コストにも関係します。特に、技術・人文知識・国際業務、特定技能、企業内転勤、高度専門職など、継続的な更新が必要となる外国人材を雇用している企業では、社内ルールの整理が必要になります。
- 在留期間更新や在留資格変更の手数料を、本人負担にするのか会社負担にするのか整理する
- 外国人社員の在留期限を管理し、期限直前の対応を避ける
- 転職、職務内容変更、配置転換が在留資格に合っているか確認する
- 短期商用で海外から来日する取引先・関係者について、JESTA開始後の事前認証確認フローを検討する
- 社内説明では、「上限額」と「実際の手数料額」は別であることを明確にする
実務では4つの視点で確認します
入管手続では、制度変更のニュースだけで判断するのではなく、個別案件ごとの事実関係を確認することが重要です。当事務所では、特に次の4つの視点を重視します。
在留歴、在留期限、家族状況、納税・社会保険、過去の申請歴など。
会社の実体、雇用契約、職務内容、給与、事業の安定性など。
申請書、理由書、証明書類、追加説明資料の整合性など。
制度改正、運用変更、追加資料指示、不許可リスクの傾向など。
行政手数料、専門家報酬、翻訳・証明書取得費用、企業負担ルールなど。
急いで出すべきか、資料を整えてから出すべきか、更新時期との関係など。
まとめ
JESTA創設と在留手数料上限引上げを含む入管法改正案は、日本の出入国管理・在留管理が次の段階に進んでいることを示しています。
もっとも、現時点で最も重要なのは、確定している情報と、まだ確定していない情報を分けて理解することです。法定上限額の引上げと、実際に支払う手数料額は同じではありません。実額、施行日、減免措置の範囲などは、今後の政令・省令・入管庁公表情報を確認する必要があります。
外国人本人も企業も、報道だけで慌てるのではなく、在留期限、申請内容、提出資料、費用負担のルールを早めに整理しておくことが大切です。
在留資格変更・更新・永住許可のご相談
トミーズリーガルサービス行政書士事務所では、在留資格変更、在留期間更新、永住許可、家族滞在、就労系在留資格、外国人雇用に関するご相談を承っています。制度変更のニュースだけでは判断しにくい個別事情について、実務上の観点から整理します。
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