在留手数料は本当に「1年3万円・3年6万円」になるのか――入管庁提示額と政府の狙いを読む【2026年4月更新】
在留手数料引き上げ/2026年4月更新
2026年4月、在留手続手数料の大幅引き上げを含む入管難民法改正案が国会で審議され、4月28日には衆議院本会議を通過しました。 報道では、在留期間1年で約3万円、3年で約6万円、5年で約7万円、永住許可で約20万円という目安が示されています。
もっとも、これらの金額は、現時点で既に確定・施行された手数料ではありません。 法律上の上限額を引き上げたうえで、実際の金額は今後、政令で定められる流れです。 外国人本人、家族、雇用企業は、今後の正式決定を確認しながら、早めに費用面と申請時期を検討する必要があります。
1.2026年4月に何が起きたのか
政府は、在留資格の変更、在留期間の更新、永住許可などに関する手数料を大幅に引き上げる方向で制度改正を進めています。 2026年4月には、出入国在留管理庁が国会審議の中で、新しい手数料額の目安を示したことが報じられました。
さらに、4月28日には、在留手数料引き上げや日本版電子渡航認証制度、いわゆるJESTAの創設を含む入管難民法改正案が衆議院本会議で可決され、参議院に送られました。 今国会で成立する見通しと報じられています。
報道されている金額は、現時点で直ちに適用されている手数料ではありません。 実際の額や適用開始日は、改正案成立後に政令等で定められるため、申請時には必ず最新の公式情報を確認する必要があります。
2.報道されている手数料の目安
報道によれば、今後の手数料は、在留期間の長さに応じて段階的に設定される方向が示されています。 現在の在留資格変更・更新の手数料は、窓口申請で6,000円、オンライン申請で5,500円、永住許可は10,000円です。 これに対し、今後の目安として示されている金額は大幅に高くなっています。
| 手続・期間 | 現在の実務上の参考額 | 報道上の今後の目安 | 実務上のコメント |
|---|---|---|---|
| 在留資格変更・在留期間更新 | 窓口6,000円、オンライン5,500円 | 在留期間に応じて変動する方向 | 従来の一律に近い手数料から、期間別の負担へ変わる可能性があります。 |
| 3か月以下 | 通常の変更・更新では期間別設定ではない | 約1万円 | 短期の在留期間でも、現在より高くなる可能性があります。 |
| 1年 | 現在は期間別ではない | 約3万円 | 1年更新が続く人にとって、負担増が大きくなります。 |
| 3年 | 現在は期間別ではない | 約6万円 | 就労系・身分系の更新で多くの人に影響します。 |
| 5年 | 現在は期間別ではない | 約7万円 | 金額は大きいものの、更新回数を考えると長期在留期間の価値が高まる可能性があります。 |
| 永住許可 | 10,000円 | 約20万円 | 永住申請の費用負担が大きく変わる可能性があります。 |
3.法律上の上限と、実際に払う金額は別です
今回の制度改正で重要なのは、法律上の手数料上限を引き上げることと、実際に支払う手数料額を決めることは別だという点です。 報道では、在留資格変更・更新については上限10万円、永住許可については上限30万円に引き上げる方向が示されています。
しかし、上限が10万円・30万円になるからといって、すべての申請でその上限額を支払うという意味ではありません。 実際の手数料は、その枠内で政令により定められる予定です。 そのため、報道上の目安額と最終的な正式額が完全に一致するとは限りません。
「法律上の上限」と「実際に申請者が支払う手数料」は分けて理解する必要があります。 現時点で重要なのは、手数料が大幅に上がる方向で制度が進んでいる一方、最終額と開始日はまだ公式決定を確認する段階にあるということです。
4.なぜ手数料引き上げが検討されているのか
政府側の考え方としては、在留手続を利用する人に、行政コストの一部をより多く負担してもらうという方向があると考えられます。 日本に在留する外国人の数は増加し、在留管理、審査、オンライン手続、制度運用は以前より複雑になっています。
また、今回の手数料引き上げは、JESTAの創設、在留管理の強化、デジタル手続の拡大といった、より広い入管政策の流れの中で見る必要があります。 在留手数料は、単なる収入印紙代ではなく、出入国・在留管理制度全体を支える費用の一部として位置づけられつつあります。
今回の手数料引き上げは、単なる財源確保だけではなく、在留管理、審査体制、デジタル化、制度運用コストを、申請者側の負担とより強く結びつける方向の制度変更と見るべきです。
5.外国人本人への実務上の影響
報道されている水準で手数料が実施されれば、外国人本人や家族の費用負担はかなり大きくなります。 特に、1年更新が続いている人、家族全員で更新が必要な世帯、卒業後に在留資格変更を行う留学生、永住申請を検討している人に影響が出やすいと考えられます。
たとえば、1年更新が約3万円になる場合、現在の窓口申請6,000円と比べて5倍程度の負担になります。 家族で複数人が同時に更新する場合は、合計額が一気に大きくなります。
- 更新時期が近い人は、今後の手数料変更時期を確認する。
- 家族全員で更新する場合は、人数分の費用を事前に見積もる。
- 永住申請は、費用が上がる前に急ぐのではなく、許可可能性を十分確認する。
- 不十分な状態で申請して不許可になるリスクを、手数料以上に重視する。
6.雇用企業への実務上の影響
外国人を雇用する企業にとっても、今回の手数料引き上げは無関係ではありません。 手数料は本人負担とされることも多いですが、実務上は、会社が負担又は補助するケースもあります。 特に、外国人従業員が多い会社では、更新・変更手数料が人事コストとして無視できない金額になる可能性があります。
技術・人文知識・国際業務、特定技能、企業内転勤、技能などの在留資格で複数の外国人を雇用している企業は、今後、年間の在留手続コストを見込んだ予算管理が必要になるでしょう。
| 企業側の論点 | 実務上のリスク | 準備すべき対応 |
|---|---|---|
| 同一年に複数人の更新がある | 手数料合計が大きく増える可能性 | 年間の入管手続費用を予算化する |
| 1年更新が続く従業員が多い | 毎年の費用負担が重くなる | 雇用条件・書類整備により、長期在留期間につながる説明を整える |
| 会社負担か本人負担か不明確 | 従業員とのトラブルや不公平感 | 社内ルール、雇用契約、福利厚生の扱いを整理する |
| 永住申請を会社が支援する | 不十分な申請で高額手数料が無駄になる可能性 | 申請前に許可可能性を慎重に確認する |
7.手数料が上がる前に急いで申請すべきか
手数料が上がる可能性があると聞くと、「早く申請した方がよいのではないか」と考える人も多いと思います。 確かに、申請時期が近い場合には、今後の施行時期を意識することは重要です。
しかし、手数料を避けるために、準備不足のまま申請することはおすすめできません。 在留期間更新は、法定の申請可能期間内で行う必要があります。 永住申請についても、税金、年金、健康保険、収入、扶養、出国歴、交通違反、家族状況などを十分に確認せずに申請すると、不許可歴が残り、次回申請の戦略が難しくなることがあります。
手数料は重要ですが、申請の質とタイミングの方がさらに重要です。 特に永住申請では、「手数料が上がる前に急ぐ」よりも、「許可可能性を確認してから申請する」ことを優先すべきです。
8.2026年に申請する前のチェックポイント
2026年に在留資格の変更・更新・永住申請を予定している方は、少なくとも次の点を確認しておくとよいでしょう。
- 申請時点又は許可時点で適用される最新の公式手数料を確認する。
- 新しい手数料制度が既に施行されているか確認する。
- 申請が、在留資格変更、在留期間更新、永住許可、その他のどれに当たるか確認する。
- 更新申請では、申請可能期間を確認し、早すぎる申請・遅すぎる申請を避ける。
- 永住申請では、税金、年金、健康保険、収入、出国歴などを事前に確認する。
- 会社が手数料を負担する場合は、本人負担・会社負担のルールを明確にする。
- ニュースだけで判断せず、出入国在留管理庁の公式情報を確認する。
- 不明点がある場合は、申請前に専門家へ相談する。
9.当事務所の見解
今回の在留手数料引き上げは、日本の入管実務にとって大きな転換点になる可能性があります。 これまで日本の在留手続手数料は、手続の重要性に比べると比較的低額でした。 今後、報道されている水準で手数料が引き上げられる場合、在留手続は、外国人本人や企業にとってより明確なコスト項目になります。
一方で、手数料が上がるほど、申請の質も重要になります。 不完全な書類、根拠の弱い永住申請、説明不足の転職後更新、会社側資料との矛盾がある申請は、費用面でもリスクが大きくなります。
手数料引き上げはまだ最終確定ではありませんが、外国人本人も雇用企業も、今から準備を始めるべき段階です。 最も重要なのは、焦って申請することではなく、早めに状況を確認し、必要書類を整え、適切なタイミングで申請することです。
在留資格変更・更新・永住申請でお困りの方へ
トミーズリーガルサービス行政書士事務所では、在留資格変更、在留期間更新、永住許可、就労ビザ、家族ビザ、外国人雇用に関する入管手続をサポートしています。 手数料引き上げの影響や、申請時期、必要書類、許可可能性に不安がある場合は、申請前にご相談ください。
在留手数料引き上げに関する2026年4月時点の各種報道
出入国在留管理庁の手数料・申請手続に関する公式情報
トミーズリーガルサービス行政書士事務所の入管手続料金表
※本記事は、2026年4月時点で公表・報道されている情報をもとに、行政書士実務上の注意点を整理したものです。報道されている将来の手数料額は、まだ最終的な公式手数料表ではありません。実際の金額と適用開始日は、申請前に必ず最新の公式情報で確認してください。